岩本 留里子さん~「夢の宝地図」で夢を叶える~

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岩本 留里子 (いわもと・るりこ)

講師になるまでのお仕事: 大手ファストフード企業に7年間勤務、店長・スーパーバイザー、サービスマネージャーを経験。その後、飲食業界で、業態開発、人材育成・接客指導、商品開発などフィールドを広げる。

今のお仕事: 飲食分野を得意とした経営コンサルタント・接客研修・店長教育・メニューアドバイザーとして活躍するほか、幼児・小学生を対象にした食育レッスン「しょく感教室」を開催。

 


 

飲食業界での接客、店舗立ち上げなどの経験を活かし、企業のコンサルティングから学校、職業訓練校など多くの場所で講師として活躍する岩本留里子さんにお話しを伺いました。

 

やりたいことができる環境で働きたい

― 早速ですが、講師になる前のお仕事をお聞かせください。

岩本:短大を卒業してすぐは、不動産会社の事務職をしていました。いわゆる一般的な9時~17時の仕事です。当時は、今に比べるとまだまだ女性が仕事でそこまで活躍できるわけではなかったので、何かやりたいと言っても「だめ!」と言われることが多かったです。それで物足りなく感じてしまいました。

ちょうどその時に輸入業をやりたくて通関士の資格を取ろうと思い、会社を辞めて勉強をすることにしました。

 

― なぜ輸入業だったのでしょう?

岩本:飲食業に興味があったのです。その時は自分でコーヒー豆などを輸入して販売したいと考えていたのですが、通関士の試験には落ちてしまいました。そこで、とりあえずは仕事がないのでアルバイトをしようと考え、ドーナツチェーン店で働き始めました。働くうちに社員にならないかというお誘いをいただき、社員になることになりました。

ただ勉強するというのは働きながらでもいつでもできると思うのですが、若いうちに飲食業で人を使ったり、接客をするということを身体で学ぼうと思ったのです。

 

― 飲食店の業務は大変というイメージがありますが、どうでしたか?

岩本:もちろん大変なこともありますが、飲食店に興味があったのはいつか自分でお店をやろうというのがベースにあったので、とても勉強になりました。

ドーナツチェーンでは副店長になり、その後店長になったのですが、店長になったのは1997年に完全な男女雇用機会均等法が適用され夜10時以降も女性が働けるようになってからです。朝2時まで開いているお店だったため、それまでは女性は店長にはなれませんでした。

 

― では岩本さんが店長になった当時は女性の店長は珍しかったのですね。

岩本:福岡地区では女性の店長は2人だけでした。併せて接客のサービスマネージャーもやり、新規オープン店舗の立ち上げやマニュアル作成などを行いました。

沢山の経験をさせていただき、ドーナツチェーンでは7年ほど勤め、29歳の時に退職することにしました。

 

新規オープンのプロに

 

― それから現在の講師やコンサルティングのお仕事をされているのですか?

岩本:今の仕事を始めるまでにはまだまだあります(笑)。そこから1年ほどは派遣で事務系の仕事をしていたのですが、レストランを経営する会社からお声掛けいただき、新規事業立ち上げの部門の№2として迎えていただきました。ここで飲食店の立ち上げについてはほとんど学ぶことができました。店内の内装、オペレーション、ゾーイング、販促、商品開発、店員の教育関係など…。ほとんど休みなく働きました。3年間在籍していたのですが、毎月のように新店舗の立ち上げをした時期や、多い時は月3店舗ということもありました。3年間で20店舗近くの新規立ち上げに立ち合い、中にはソウルでの開店もあり、とても楽しかったです。

 

― 店舗の立ち上げはエネルギーが要りそうですね。

岩本:ドーナツチェーンでの7年間で接客や店舗内業務を基礎からしっかり学び、レストランの3年間で新しく店ができるまでを全て学びました。社長が何でもやらせてくれる方でしたので、パッケージを作るのにも、ロゴから色校から全部をやらせてもらいました。また、東京の新規オープンの責任者が必要という事で東京に転勤したその後何社か経験をしたことがきっかけで、東京で転職をすることになりました。何社か経験したのですが、その中である会社の社長に「岩本さんは自分で会社をやったらいいんじゃないか。」と言われ、この時に独立を意識しています。

 

独立しても苦労はたくさん

 

― 独立を意識されてから実際に起業されるまでには何かしたことはありますか?

岩本:独立しようと思ってもすぐにできるわけではありません。そこでコンサルティング会社に就職し、経営についても学びました。独立したのは7年前なのですが、直前の1年間は準備期間としてチョコレートブランドで派遣店長をしながら起業準備をしました。

また、最初の1年間は当然ながら収入もすごく少なく、営業活動をしながらアルバイトもしていました。

 

― 営業活動というのはどのようなことをされたのですか?

岩本:ブログを書いたり、様々な人と知り合い人脈を作ることですね。知り合った方には会いに行く、セミナーに参加するなどしていました。

アルバイトでも業界№1のファストフード店や利益率の高い格安居酒屋で、自分が勉強になるアルバイトをしようと考えて働きました。その中の一つに銀座の老舗焼き鳥屋さんがあります。ご縁があり、今でもお付き合いのあるお店なのですが、コンサルティングをしたいという話をし、焼き鳥屋さんのコンサルティングをさせていただくことになりました。同じように知り合いの、銀座で100年ほど続く企業がオーナーのイタリアンでミステリーショッパーのチェックなどをさせて貰いました。最初は実績と経験を積むために少額で人脈を作りながらの仕事が多かったです。

 

― 最初は苦労されているのですね。

岩本:そうですね。独立したころから「約束を破らない」ということを自分の中で決めています。例えば、今すぐに自分の仕事に繋がりそうな方から「今日来てほしい」と言われたとします。その時にすぐに仕事に繋がるかはわからない別の方との先約があるとすると、すぐに仕事になる方を優先してしまいがちです。ですが私は、最初に約束があれば必ずそちらを守ろうと決めています。

ダスキンの創業者の言葉で「損と得あらば損の道をいくこと」というものがあります。これが私の中にずっとあって。20代の頃は全然分かりませんでした(笑)。得に行くでしょうと思っていました。30代になってからこの意味がやっと解って、目の前の得ではなく、自分が下積みをきちんとして周囲との信頼関係も築かないと最終的にはダメになるなと思っています。起業した人を沢山見ていますが、目の前の利益しか考えていない人で残っている人は少ないなと思います。

 

“for you”の心がけ

 

― 将来のために信頼を積み上げるというのはすごく大切なことなのですね。

岩本:独立してすぐに色々なセミナーに参加していた時、あるセミナーで「企業したいという人は“for me” ばかり言う。そうではなくまずは“for you”からだ。」というのを聞きました。その時、私は“for me” ばかりだったと気づいたんです。出会った人にこちらが「あなたのためにできることがあれば言ってください。」というスタンスでいれば、相手も私に仕事をくれるようになります。自分はあれができる、これもできると押しつけるのではなく、まずは相手の力になれることを考えることが大切です。

 

― まずは相手からですね。

岩本:まずは相手から、そして謙虚であることですね。私のような仕事をしていると、「先生」と呼ばれたり、特に地方に行くと迎えに来ていただいて、準備も全部していただいて、何もしなくていいということも良くあります。それで勘違いしそうになる時が皆あると思います。その時に勘違いするのではなく、自分は相手のために何ができるかを考えます。仕事で出会う方ともご縁があってのことだと思っていますし、仕事をいただくのも全てそういった人とのご縁です。仕事でもプライベートでもご縁をいただいたことを大切にしたいと考えています。

 

「夢の宝地図」を描く

 

― 講師としてのお仕事はどのような事をされているのですか?

岩本:高校、専門学校の講師や、ジャパンフードコーディネータースクールで講師のお仕事をさせていただいています。ジャパンフードコーディネータースクールも最初はアルバイトで料理教室のアシスタントから始まっています。アシスタントリーダー、司会をやるようになると、依頼元から「司会は岩本さんで。」という指名をいただけるようになりました。その実績も認めていただき、講師をやりたいと言っていたので、スクールに職業訓練校の講師の話が来た時「岩本さんやってみなよ。」と言っていただけました。

 

― 特徴的な研修はありますか?

岩本:面白いものでは「夢の宝地図」を作る研修をしています。その年にやろうと思ったこと、できたらいいなと思ったことを紙に書くのですが、雑誌などから切り抜いたものを画用紙に張り付けて自分のやりたいことを宣言します。

私も毎年、年始に目標を小さいものも大きいものも100個ほど書き出しています。6月に中間棚卸を行い、できていないことを年末に向かってやるようにしています。書き出すことで自分の中でも整理され、目標に向かって行動するようになるので叶うのです。

それを毎年やっているので独立して1年目に立てた目標はほとんど叶っています。

 

― 講師として心がけていることはありますか?

岩本:勉強を続けることです。最近では、心理カウンセラーの資格取得を目指して勉強中です。学校などで講師をしていると本当に色々な生徒がいます。中には心に闇を抱えている子もいますし、コンサルティング先の従業員にもそういう子はいます。知らずに接していると気づかずに攻撃してしまうこともありますから。

それから、他の方のセミナーを見に行くようにもしています。内容もそうですが、話し方や間の取り方、何を言ったときに受講者がどんな反応をするかを見ています。同じように、今流行っているTV番組やお笑いのネタなどを見たりして、なぜそれが流行っているかを分析します。外に出た時は、看板の色で最近は緑が増えてきたなとか、それはなぜだろうとか考えたり。そういうことを講義で話す内容に落とし込む工夫をしています。

私の研修を受けた方は「やる気が出ました」と笑顔で帰られる方が多いですね。

 

― 最後にこれからの展望を聞かせてください。

岩本:今やっていることを10年継続させることです。今7年目なので、あと3年は継続させたいです。それからまた次のステップを考えたいと思います。そのためには目の前の仕事を精一杯やることが大切だと思います。

社会・世の中にどう貢献できるかも考えていきたいです。例えば、何か大きな仕事を貰ったら必ず募金をしています。すごく大きな額ではないですが、続けることが重要なんです。

あとは、「ありがとう」を増やすこと。バスで降りるときにも「ありがとうございます。」、エレベーターで降りるときに譲ってもらったら「すいません。」ではなく「ありがとうございます。」と言うようにしています。そういうのは全部自分に返ってくると思っています。

それから女性が活躍していける場を増やしたいです。コンサルティング先を見ていても、女性の店長って少ないんです。女性はライフイベントがあったりすると、男性に比べてどうしてもキャリアが途絶えてしまいがちです。頑張っている女の子は沢山いますが、結婚して子供を産んだら仕事を辞めなきゃいけないということもあるかもしれません。それでも戻ってこられる場所を作るとか、女性のライフスタイルに合わせた働き方、活躍のできるお手伝いができればいいなと思っています。

 

― 働く女性にとっては結婚しても子供ができても仕事ができるというのはすごく重要ですよね。お忙しい所ありがとうございました。

岩本:こちらこそありがとうございました。

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